心海の砂煙

もう1個のほうが使えない時用

被告人

「これより、ギルバート・トランスの犯した罪を並べさせていただきます。

一つ目。彼は幼い頃、お父上にいつでも期待されながらそれをプレッシャーに感じていた。これはあまりにも産み落としてくれた親に対して失礼極まりなく、恥ずべき愚かな行為です。
それを言い訳に、勉学を疎かにし、集中しなかったのもまた大きな罪です。
二つ目。彼は家業を嫌っています。トランス家は生物学に大きく貢献している誇り高き家系。その家業を嫌うなど長男としてあっていいことではありません。
三つ目。…ああいや、キリがない。彼における一番の重い罪を述べましょう。

彼は、この僕ジェラルド・トランスの夢と将来を奪い、本人は自由に生きている。さらには僕の恋人になるべき人を、自分の恋人にしてそれを当然のように言う。
彼はこの僕を、徹底的に苦しめている。
さらに付け加えれば、まるで僕が悪人であるかのように振る舞うのです!
こんな事が許されていいのでしょうか?いやそんなわけがない!
よって僕は、ギルバート・トランスを、火炙りにかけることを所望します。」

「なにか反論は?ギルバート・トランス。」

「…ああ。」
「ごめんな。ジェラルド。」

…は?

「でも、ラティアのことだけは、あいつが変わらない限り、譲らねーから。」

「…黙れ。」

僕が絶対だ。
僕が。僕が。






「ほんとうに?」