心海の砂煙

もう1個のほうが使えない時用

2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

大嫌いな彼の独占

彼とすれ違うとたまに甘い香りがする。チョコレートの香りの時が一番多くて、その次はマカロンとか砂糖類、その次はシュガーたっぷりのコーヒー。女子か、なんて心の内で悪態をつくのはもう慣れっ子で、その香りの元となるティータイムをしている彼を見るの…

小鳥のさえずり

「そういえば、この本って禁術が書いてあるんだよね?」「そうだよ?」「その禁術って、具体的にはどんなものなのかな。」「興味あるの?」「…ううん。エレオノーアはね、禁術なんかに手を出してるモルフェくんはいつまでモルフェくんで居られるのかなあって思っただ…

赤色の呟き

「集まるもんだねえ」黒い衣服に身を包むかつての同居者達に目を向けた。もう一人の少女と自分を除いて、彼らは群青色の少女によって集められたと聞く。懐かしい顔ぶれだ。そう言うには各々が成長しすぎているような気もするが、それでも変わらない。強いて言…

体温37℃の甘え方

「薬飲まなきゃ治らないぞ!」「君がいる限りうるさくて薬どころじゃないよ」「飲みたくないだけだろ…」ごもっとも。だって僕は薬の苦さが嫌いなのだ。トマトに次いで人生の敵だと言っても良い。体温計は37℃を指したまま。季節の変わり目は良くない、こうやって風…

愛 とは

「なーんか…無いと、やっぱだめなんすよねえ。でもたぶん無いなんてこと殆ど無いんじゃないかな。」「使いやすいよなあ。それさえあれば、そうすげえ人間にとっては大きいものなんだ。人ひとり変えるくらい。」「…わからない。なんだろう。でも、すごく暖かいよ。…

小さな軌跡を

「先生?また戦争の資料ですか?」「ん?ああ…」「目を悪くしますよ。コーヒーいりますか?」「ありがとう」「ブラックですよね」「ああ。」学生戦争。恐らく数多の学生が歴史の授業で耳にした日本の代表的内戦。日本が3つの軍にわかれ、学生までもを動員した、悲劇の戦…

お日様の君

「君は元気すぎるよ」「ん?何か言ったか!」「うるさいよばか」「…?」明るく笑う人はもう信用しちゃいけない。その裏に何も無いように見えて、八つ当たりしちゃうから関わっちゃいけない。また、失ってしまうから、大切にしちゃいけない。ぽたぽた。はらはら。まだ…

Dear You.

君に贈りたい言葉は沢山ある。君に贈りたい物もたくさんある。僕はどうか君へ届くようにいつも願っている。常々、淡々とこの毎日を。僕はただ君のいる場所が陽だまりであればいいと願いながら呼吸をしている。生きること。君と出会ってから、僕は美しい四季…