心海の砂煙

もう1個のほうが使えない時用

大嫌いな彼の独占

彼とすれ違うとたまに甘い香りがする。
チョコレートの香りの時が一番多くて、その次はマカロンとか砂糖類、その次はシュガーたっぷりのコーヒー。
女子か、なんて心の内で悪態をつくのはもう慣れっ子で、その香りの元となるティータイムをしている彼を見るのももう慣れた。
最近は時々、身なりの良い女の子とティータイムをしている事がある。さらに最近は別の子ともだ。
あの気難しい彼が気を許して微笑みながらお茶を飲むなんて、と最近は驚いていたがむしろ今となっては自然な姿に見える。

彼は自分といるときはいつもよりも気難しい顔をしてああだこうだと言ってくる。
彼の言うことを聞かないうえに、考えが合わないからだろう。
ティータイムをしている彼女達には見せない顔。

いい気味だ。そう思ってしまった。

彼、兎上由紀は杏だけの好敵手なのだ。